三つ葉のクローバー

ラブライブ!が好きです。無印の推しは穂乃果、希。サンシャインはダイヤ。新田恵海さんのファンです。

「クリスマスプレゼントだろ!」ひとりのクリスマスのお供にはブレンパワードをどうぞ

 「クリスマスプレゼントだろ!」のセリフで有名なブレンパワードブレンパワードとかいうアニメでいい年した男が「クリスマスプレゼントだろ!」とかママンとか叫び出すということは知っているけど見たことはない、あるいはクリスマスプレゼントだろって言葉は知ってるけど……って人も多いのではないでしょうか。クリスマスプレゼントで検索かけようとすると予測変換で出てきますからね、クリスマスプレゼントだろ

 この作品の魅力を語りたいのですが、思いっきりネタバレするつもりなのでクワトロ・バジーナの正体ってシャア・アズナブルだったのかよ!」みたいなネタバレ食らいたくない人は続きは読まずにブレンパワードを見ましょう。Amazonプライムの見放題で見られます。

  さて、ブレンパワードのあらすじはこちら

 

現在から数十年後の近未来。人類は太平洋の海溝(深度7千メートルの深海)に沈む謎の遺跡を発見した。アメリカ合衆国軍の指揮の下、その巨大構造物に「オルファン」と名付けた研究者達は、極秘裏に研究を推進。「オルファン」が生体エネルギーを吸い取りながら宇宙へと旅立とうとする生命体であると解明する。地球に絶望する人々は集結してオルファンに協力する「リクレイマー」となり、オルファンを移民船として宇宙へ旅立とうと計画。オルファンが蘇るに従い、世界各国で発見される謎の円盤状物質「オーガニック・プレート」から、次々と「アンチボディ」と呼ばれる未知の物体が生まれ始めると、リクレイマーはオルファンと同調するアンチボディを「グランチャー」と名付け、浮上のための行動を開始した。
だが、浮上に伴う地殻変動により、三年間で世界13の都市が半壊(主要都市が壊滅)。この未曾有の危機に際し、国連はオルファンに対抗する箱船として戦艦ノヴィス・ノアを建造し、オルファンに反発するアンチボディ「ブレンパワード」を使ってオルファンの浮上の阻止作戦を遂行。ブレンパワードパイロットをスカウトして、準備を進める。やがて、オルファンの浮上準備が整い、世界各地はさらなる天変地異に見舞われる。
そんな中、「リクレイマー」の中核をなす伊佐未夫妻の息子、勇が、リクレイマーに反発してオルファンから脱走、ノヴィス・ノアの乗員となり、物語が動き出す。 

 

はい、公式サイトのコピペです。わけのわからない専門用語が連発されていますね。ファルシのルシがコクーンでパージ?スマホの説明受ける老人ってこんな気分なんですかね?まあ同じ監督作品のガンダムも大概そんな感じでしたよね。「すごい……5倍以上のエネルギーゲインがある……」って何が何の5倍以上、そもそもエネルギーゲインってなんだよ。

 

 まあ大事なのはあらすじじゃないんですよ。キャッチコピーが凄い。「頼まれなくたって生きてやる」このキャッチコピーに一発でやられて、このアニメを見たいがためにAmazonプライム契約しましたよ。輪るピングドラムの「きっと何者にもなれないお前たちに告げる」と並んで俺の2大好きなキャッチコピーです。

 監督はかの富野由悠季機動戦士ガンダムの監督ですね。ガンダムと言えば鉄血のオルフェンズだけは見たことあるって人も多いんじゃないでしょうか。「止まるんじゃねえぞ……」って書き込みながらオルガの死体を貼り付けてキャッキャウフフしているオタクは今すぐファーストガンダムを見てブレンパワードを見ましょう。ファーストガンダム、劇場版の方なら映画3本、6時間足らずで全部見られますよ。

 

 さて、話がだいぶ逸れましたが「クリスマスプレゼントだろ!」ですね。このセリフを吐くのは主人公の敵対組織のパイロットでライバルポジションであるジョナサン・グレーンって奴です。このジョナサンって奴がすごい、何がすごいってジョナサンは主人公の姉と母親と肉体関係を持っているんですよ。「いやさあ、ババアなんて馬鹿にしてたさ。がねえ、いやあ、味わい深かったって感動したあ」「ならお母ちゃんに聞いてみなよお、情熱を秘めた肉体……」「しかしもうひとつ現状を報告しておくと、女房の態度が変わってもそれに気付かないのがお前のお父ちゃんってことだ、お前はそういう男と女の間に生まれた子供なんだ!」という言葉で主人公を追い詰めていきます。で、これを言われた主人公、コックピットで泣き喚く。そうそうないですよ、母親が敵とセックスしてたショックで主人公がコックピットで泣き喚くロボットアニメって。

 

 で、このジョナサンって奴も母親に対してはいろいろと拗らせた感情を抱いています。母親と同じ姓を名乗るのが嫌でグレーンという姓を自称しているくらいです。それが「クリスマスプレゼントだろ!」のセリフに繋がるわけですね。

 

 さて、拗らせた親子関係の修復って子供が親を赦すという形でしかありえないと俺は思うんですよ。赤ん坊が親にひどいことをするなんてことはできない。子供は責任なんて取れませんからね。だから壊れた親子関係を修復する類の物語は子が親を赦すことによってクライマックスを迎えるのです。なんかこういうのって見ていてモヤモヤするんですよね。いじめられっこがいじめっこに謝られて許すしかないところを見せられる感覚に近いって言うか。

 じゃあなんでこんな親子の物語が濫造されるかって、親子関係の修復なんて面倒なテーマの作品に触れるのが大人だからだと思うんですよ。大人、つまり親目線で見るからこそ自分が散々酷いことをしてきた子供に赦してもらうという構造にカタルシスを得る、そういうことだと思うのです。

 

 さて、またまた話が逸れました。「クリスマスプレゼントだろ!」です。もちろんブレンパワードはそんな簡単に親子の関係を感動的に演出したりなどしません。

 「クリスマスプレゼントだろ!」のセリフが飛び出すのは9話「ジョナサンの刃」です。俺は正直ここまではあまりに専門用語が説明もなく飛び出すので見ていてキツかったです。ここからはどんどんおもしろくなっていくので9話までは見ましょう。さて、ジョナサンの母親アノーアはノヴィス・ノアの館長をしています。ジョナサンはその敵対組織、リクレイマーに属しています。アノーアはジョナサンがリクレイマーであることを知りません。「ジョナサンの刃」はそのジョナサンがノヴィス・ノアに侵入する回です。

 ジョナサンは館長室で母親に銃を突きつけながら、母親が自分が昔あげたクリスマスカードを大事に飾ってるのを見つけるんです。普通なら「ああ……母さんは俺のことを大事に想ってくれていたんだな……」なんて銃を降ろすところですね。ですがジョナサンの母親への憎しみはそんな甘っちょろいものではないのです。

 ジョナサンはカードを握ってクシャクシャにしてしまうんです。「まだこんなものを持ってたのか!アンタにはこんなものを持つ資格なんてない!」「よく覚えているから怒ってるんだ!アンタにはカードを持って見せるような見せかけの愛しかない!こんなことやられたって、子供にはわからない!伝わらないんだ!男との愛情を面倒がった女は、子供との愛情を育てるのも面倒だったんだよな!だから俺を捨てて、仕事に逃げたんだよな!」詰め寄られたアノーアは、「あなたを愛しているわ」と言いながらも艦のコードを操作します。ジョナサンの言葉を肯定するかのように。

 追い詰められていくジョナサン。子供を人質に取りながらも、ついに母親に銃を向けられてしまいます。ここがかの名セリフが飛び出すシーンです。

 

「いい加減クマゾーくんをおろして投降なさい。そうすれば悪いようにはしません」

「嘘をつけ!悪いようにはしないなんてずーっと言ってきたじゃないか!だけどいつもいつも裏切ってきたのがママンだ!」

「そんなことありません!」

「8歳と9歳と10歳のときと!12歳と13歳のときも僕はずっと!待ってた!」

「な、なにを……」

「クリスマスプレゼントだろ!」

「ああっ……」

「カードもだ!ママンのクリスマス休暇だって待ってた!アンタはクリスマスプレゼントの代わりに、そのピストルの弾を息子にくれるのか!」

 

 ジョナサンの言葉にショックを受けたアノーアは、無茶な作戦を敢行して行方不明になってしまいます。その後にジョナサンも戦闘中に乗機を失って行方不明になるのですが。

 

 乗機を失ったジョナサンに謎の仮面の男バロン・マクシミリオンが現れて新しい機体バロン・ズゥを与えます。この仮面の男バロンの正体こそが実はジョナサンの母親アノーアなのです。変声期も使っているのでもっとも正体のわかりにくい仮面キャラなんて言われていますがエンディングクレジットに声優がきっちり載っているのでEDを見れば一発でわかります。

 バロンはジョナサンに「未熟者!」と連呼して罵りますがジョナサンは自分に機体を与えてくれて再び表舞台に立たせてくれたバロンを信頼、そして尊敬しています。

 どんなに愛をアピールしても決して息子にわかってもらえなかったアノーアが他人という仮面を被ることでジョナサンと新たな関係を築いていく様は見ていて非常に気持ちがいいです。ここまで拗れた親子の関係は他人としてやり直すしかなかったのです。

 

 最終決戦にはバロンがバロン・ズゥを駆って戦うのですが力を使いすぎて死んでしまいます。ジョナサンに正体がバレ、「なんでアンタがバロンなんだ!」とジョナサンに言われたアノーアは「お前の傍にいたかった……今度こそお前のために、何かをしてあげ……」と答えます。「遅いんだよ、俺を騙して裏切ったんだぞ!」「元気な、ジョン……」「起きろよ!アンタにはまだ言いたい事がいっぱいあるんだ」

 そこで「お袋さんはやることはやったんだ、赦してやれ」と主人公が割り込むのですが、ジョナサンは「親子の間に入るな!」と叫びます。親子という言葉をここで使ったのが感動的です。赦さないことこそがジョナサン流の親子の絆なのかもしれません。

 

 

 さて、ここからは見た人にしかわからない感想というか蛇足というか。

 人類の側に立って戦うブレンパワードは一見すると善人のようにも見えますが、人類の側に立って戦うことそのものが、オルファンに見捨てられたブレンパワードのオルファンへの当て付けの意味が多分に含まれているのではないでしょうか。ラッセ・ブレンも「仕返す!」と言っていましたね。

 オルファンと見捨てられたブレンパワ-ド、その粗製濫造された神々が踊り狂う様に巻き込まれ、乗り回し振り回される壊れた親子たち。登場人物だけでなく、登場するロボットたち、そして地球そのものまでが再生する親子の物語、それこそがブレンパワードだったのではないでしょうか。