三つ葉のクローバー

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シュギ・ジキに対する考察 ヘヴィレインが生まれた場所、彼が望んだ世界

 ニンジャスレイヤー第3部の最終章の内容にまで思いっきり突っ込んだ記事です。思いっきりネタバレ。

 

 シュギ・ジキとはサイバーパンク小説ニンジャスレイヤーに登場する場所である。そこではシークエンツ・ブレイクビーツ技法と呼ばれるストーリーが展開される。

 

忍殺作中では、戦闘シーンなどで同じ文章をコピペめいて何度も反復させる独特の文章表現手法がしばしば見られるが、シークエンス・ブレイクビーツ技法はエピソードの枠を超えた天丼ネタであり、固有名詞を変えただけのほとんど同じ文章をいきなりぶちこんでくる反復表現技法である。
 
代表的なものに「トラップ部屋シークエンス」があり、これは『四方それぞれに絵の描かれた壁がある十二枚のタタミ敷き(シュギ・ジキ)の四角い小部屋に誘い込まれたニンジャスレイヤーが、四方の壁の隠し回転扉を使う敵ニンジャに翻弄されるも、最終的にドラゴン=センセイのインストラクションを胸にして敵の場所を見破り殺害する』というもの。
このシチュエーションは、旧版「ネオサイタマ炎上」原書収録の初期作品とされる「デス・オブ・バタフライ」が初出であり、その後も複数のエピソードで使用された模様。
同様に「ビル屋上カイト脱出シークエンス」なるものも存在するらしい。(ニンジャスレイヤーwikiより)

 ネオサイタマに住む元湾岸警備隊のスラッシャー、イノウはシュギ・ジキ部屋で死に、アマクダリのニンジャ、ヘヴィレインとして生まれ変わった。物理書籍版のニンジャ名鑑によれば、彼はニンジャとしての力を一切信用せず、湾岸警備隊制式装備であるオクダスカヤ社製アサルトライフル「AAV-229」を使用し続けるとある。ニンジャの超人的な力に溺れて破滅するものが多いこの作品において、彼は銃弾すら目視で回避できるほどのニンジャのカラテの力を信頼せずに軍隊式の画一された兵器の力でアマクダリの支配に抵抗する者を虐げるのである。

 アマクダリは「再定義」によってコトダマ空間との繋がりを断ち切り、オヒガンからの影響による不確定要素を排除した世界を支配することを目的としていた。

 不確定要素が排除されたアマクダリの支配が永遠に続く世界。そこは固有名詞だけが入れ替わり、延々と同じことが繰り返される。そう、シュギ・ジキ部屋とはアマクダリの再定義によって成し遂げられようとしている世界そのものなのだ。

 そこはアガメムノンにとっては当然そうあるべき世界。12人の他の者にとっては自分が勝者であり続ける世界、あるいは秩序によって統制された世界である。

 

 ヘヴィレインはアマクダリの中枢である12人よりも再定義後の世界を本質的に理解していた。あるいはシステムの端末でしかないからこそ理解していたのかもしれない。それでも彼はアマクダリの支配する世界を望んでいた。この世界を憎んでいたから。

 再定義後の世界でも彼は支配者や勝者にはなれない。システムの端末でしかないのだ。誰もが等しく支配されるだけの、停滞したシュギ・ジキの世界を望んでいたのだ。

 彼の支配者であるアガメムノン、そしてハーヴェスターが死んだ後の混乱の中、ヘヴィレインはシュギ・ジキ部屋で爆発四散する。彼を殺したのは、皮肉なことにアマクダリが断ち切ろうとしたオヒガンと現世の狭間からやってきたザイバツのニンジャである。彼は戦わずに逃げることもできたはずだ。

 だが彼は、狂った無責任な、生命維持装置を外されたネオサイタマで生きていくことを拒み、シュギ・ジキ部屋の中で死んだのだ。

 

 ネオサイタマは、ほぼ常に重金属酸性雨が降りしきる街である。

 物理書籍版のショック・トゥ・ザ・システムには、ネオサイタマのアウトローが再定義後のネオサイタマを幻視するシーンが追加されている。街区は何もかも画一的に整い、アマクダリのニンジャ、ホワイトドラゴンの力で雪に覆われ停滞した世界である。アマクダリの支配が完成したネオサイタマでは、重金属のヘヴィレインが降り注ぐことなどないのだ。